大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和26年(あ)1860号 判決

本籍

横浜市西区南幸町二丁目五〇番地

住居

小田原市井細田四二番地

無職

杉山優

昭和六年五月二日生

右に対する強盗殺人、同未遂被告事件について昭和二六年三月二〇日東京高等裁判所の言渡した判決に対し被告人から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人福井房次の上告趣意について。

しかし「死刑が所論憲法の規定にいわゆる残虐な刑罰にあたらないことは昭和二二年(れ)一一九号同二三年三月一二日大法廷判決(判例集二巻三号一九一頁以下)の示すとおりであり、同判決の趣旨に徴すれば、満一八歳以上の少年であるからといつて、これに対し死刑を科することが残虐であると解すべき理由は認められない。そして、少年法五一条は、罪を犯すとき一八歳に満たない者に対しては死刑をもつて処断すべきときは無期刑を科する旨規定している。しかるに第一審判決の確定したところによれば、被告人は昭和六年五月二日生れであつて、本件犯行は昭和二四年九月一四日行われたものであるから、被告人の本件犯行は満一八歳以上の者の犯したものというべく、従つて、少年法の右規定はその適用がないものといわなければならない。」されば、原判決の是認した第一審判決はいかなる点においても違法であるとはいえない。それ故、論旨は採ることを得ない。また、記録を精査しても同四一一条を適用すべきものとも認められない。

よつて刑訴四〇八条に従い裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 沢田竹治郎 裁判官 真野毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 岩松三郎)

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